ホンダCL72パーツ塗装

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昭和43,44年位のホンダスクランブラーCL72のタンク、フェンダー、サイドカバー
の塗装です。なぜかフロントフェンダーだけが純正のシルバーで他の部品はブルーメタの
再塗装品です。フェンダーのカラーに合わせて塗装します。

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落下されたようです

レストア中のCL72のタンクですが置いた所から落下したようです。ということでタンクが落下してしまったのを機に塗装物を仕上げる事にしたというお話です。注入口の所が錆浮いてますが中はそんなでも無いというか錆びて無いようです。

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フロントフェンダーは見た所完全にオリジナルだと思います。シルバーメタリックなんですが昭和40年代、50年代のシルバーメタリックはまさしくこんなメタリックです。日が当たってもさほど光る訳でもなく、日が当たらなければすごく黒っぽく見えるそんなのがこの時代のシルバーでした。もちろん車のシルバーもこんな色ならまだましでもっと黒いシルバーでしたよ。今ならこの色の再現性は簡単ですが、当時はラッカーとか、アクリル塗料とかベースもクリヤーも一液の塗料でしたからソリッドカラーならしっかり塗り込んでそれなりの外観になりましたが、シルバーの仕上がりなんかはまともな補修作業は見た事が有りません。今の2K塗料がバカちょん 塗料と言われるのはバカでも塗れる簡単塗料ということです。良い時代ですね。上塗りがこんな楽なんですから下地の作りをしっかりして欲しい物です。話飛びましたが、せっかくオリジナル塗装が残っているのでこのフェンダーに合わせてパーツ全て塗装していきます。

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タンクですが完全にオリジナルとは違います。ペーパー等でこすってみても塗ってあるのは
間違いないです。こんなのはサンダー、ペーパーで塗膜剥離するのは大変なのです。ペーパーが絡んではかどらないので剥離剤を使用します。

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まずは大雑把に剥離作業です。あまり剥離剤は使用しないのですが、何回か補修してあるような、またはそんな疑いのある物には使用する事にしてます。補修してある物は簡単に剥離できる物も有りますが、反面ディスク、ペーパー等にからんでどうにもならない物も有ります。これはどうかなと考えてるよりさっさと剥離剤を使う物も多いです。

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塗膜剥離後、剥離剤洗浄後の状態。

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剥離作業後、取りきれないカスをサンドブラストで除去した状態

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サイドカバー三点もタンク同様サンドブラストで剥離してます。ジワーっとミミズが
這ったような錆ですが40年も経つと当然の様な感じですね。

 

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タンクとサイドカバーの凹み修理です。タンクは凹み引き作業、パテ修正、サイドカバーも
パテ修正です。

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タンク左右には、今のバイクではほとんど見られませんがニーグリップパッドを取り付ける
為の金具が付いてます。ここの隙間も剥離剤、サンドブラストで塗膜が剥がれてます。
ウオッシュプライマーをスプレーだけでは塗りきりませんので、全体を塗る前に隙間に
塗るというより充填します。ここが錆びてる旧車もありますので、錆びにくいような
処理をしたいと思ってます。

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サイドカバーの表をウオッシュプライマー塗装、裏は既にフィラーまで仕上げてます。

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サイドカバー三点続いてポリウレタンフィラー塗装です。

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これは上下一緒に下地塗装したいのでぶら下げて塗ります。こんな方法でないと
塗れませんが上塗りではこんな方法では駄目かなと思います。タンクが装着されてる
状態で塗装するのが理想と思ってます。車のバンパーを塗装する時にも単体で
塗装する訳ですが、装着時と同じ姿勢で塗装することにしてます。上下逆とか
台に置いたままでは複雑な形状のバンパーに色が乗って無い所も出てくる場合が有ります。
装着時、上から見たら色が透けて見えたという事もありますよ。

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ニーグリップの部分の余分なウオッシュプライマーを拭き取って全体にウオッシュプライマーを
塗装します。

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続けて全体にポリウレタンフィラー塗装です。ニーグリップの隙間はちょっと念入りに。

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ポリウレタンフィラー塗装後、同時進行のハーレーのタンクと一緒にガイドコート、その後下処理、こちらを先に塗装してます。シルバーのベースコート塗装完了。フェンダーは裏の状態が良いので裏マスキングで表だけ塗装。サイドカバーは裏を先に塗装、マスキング済み。

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シルバーのベースコート、タンク塗装画像です。この後クリヤーコートすれば完成です。
現在のシルバーは塗る方法を間違わなければメタル(キラキラしてる粒)は綺麗に並んで素晴らしい塗装になります。昔とは段違いに楽です。難は調色くらいでしょうか?艶はこの後のクリヤーで出すだけです。ムラになるとか、艶が出ないとか、聞きますが普通にやれば問題ないのにややこしくしてるのは作業者の問題みたいです。同業者の友はとても少ないほうですが、そんな友との話でもよく聞きますね。いまでは各塗料メーカーが塗装に関する講習を通年開いてますから、訳の分らん先輩等に聞くより、自腹切ってでもそっちの教えのほうがよろしいかと。

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セッティング時間を取った後クリヤーコートで完成です。タンクのフレームに跨る部分は
まだ色がかかって無い所がありますので、乾燥後そこを塗ります。まあいろいろ工程は
かさむのです。

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画像がちょっと暗いでしょうか。シルバーとか白だと露出不足気味になりますね。
現在のキラキラしたメタルと違って日が当たっても今のシルバーに馴らされた目には
さほど光ってるとも思えないシルバーです。メタルが極小で黒っぽい感じなのです。
正面がそんなに明るくないのに透かしで見てもやはり黒っぽいです。四〇年代の
車も、バイクもシルバー色はこれでもかなりキラキラで明るかったのです。
CL72のシルバーには違和感のないかなり近い色と思います。