横当たりの面白い素材です。
日記ではその都度区切りよく、ページでは画像増やしてもっと詳しく載せていきます。
ワゴンR横当たりの損傷画像です。
横、後ろから、リフトアップして下からの写真、左リヤドア開けた所、センターピラーの上のひずみ、
左クォーターガラスの上までひずみがきてます。
まだ部品を取り外した状態ではないですが、この状態で、左フロントシート背もたれ部は不動で変形してます。
シート&フロアマットを取り外したらかなりの変形、ひずみ
があると思います。実際そのとうりでした。
下から見るとリヤドアの下側サイドシル(サイドスポイラーが付く箇所)のインナーパネル(内側)がひどく変形してます。
この箇所はサイドから、クロスからパネルが入り組んでる場所です。
車体を修理するために固定します。
ワゴンR固定したところです。
今回はサイドシル(ロッカーパネル、ステップとも言う)が破損、長さも変形の為短くなってます。
いつものといっても紹介したことありませんが、サイドシルの耳をつかんで固定した場合、右だけの固定になってしまいます。
これだと不安定な固定で修正時ぐらぐら動いてしまいますし、正常な所も壊れるということにもなりかねません。
そこで今回はフロントはサスペンションメンバ(サブフレームとも言う)の取り付けナットを、リヤはリヤサスペンションアームの
取り付け部を利用して四点で固定します。
フロント、リヤ共スリングベルトで右側に固定部を引いてますが、見えますか?
左横を大きな力で引き作業しますので、補助的な固定も加えて頑強な固定にします。
フロントはサスペンションメンバー(サブフレーム)が付いてますので、右の固定部分をさらに右に補助固定を取ってます。
リヤは画像でわかると思いますが、左サイドの引き作業ですから、最短距離で引くために左の固定部をさらに補助固定を取ってます。
それじゃフロントはというと、サブフレームのおかげで、一体構造になりますからこれでよろしいかと。
それに核心の損傷部がリヤのフロアのほうに集中していますので。
固定と引きは作用する距離が近ければ近いほど効果的に作用します。
この補助固定だとほぼダイレクトに力が加わります。
損傷箇所の画像です。
シート、フロアマットを外した所、サイドシルに押されてフロアパネルが変形してます。
わかりにくいですが、床に張ってあるサイレンサーパッドが割れて剥がれてます。
左シートも背もたれはもちろん、座面レールも変形してました。
シートレールの寸法も狂いがあります。
センターフロアは目視でひずみがわかります。
左フロントフェンダー、フロントドアを取り外したところ、
フロントピラーの下部にひずみ発見です。
車の基本である室内の床(フロアパネル)が、くの字変形の典型です。
ワゴンR引き作業です。サイドシルのアウターパネル(外側のパネル)を切開して引き出し、
さらにリーンホースメント(中に入ってる骨になるパネル)も切開して一部取り外します。
画像はリーンホースメントまで取り外したところです。
二代三代前の軽自動車は、サイドシルはアウターインナーの二枚構造でしたが現行の軽自動車はどこのメーカーも
頑丈なリーンホースメントを組み合わせて横からの衝撃に耐える構造になってます。センターピラーも同様です。
ここまでの作業は、サイドシルのインナーパネル、フロアパネルを修正するのに作業しやすいようにする前作業です。
サイドシルのインナーとフロアパネルをダイレクトに引くため、一番、力が掛かりやすいようにしてます。
アウターパネルはチゼルで、リーンホースメントはプラズマ切断機で切り取ってます。
左サイドの引き作業です。
クランプ(引くための支点工具)を数多く付けて力を分散させて、引きます。
こうすることで小さい力で作業可能です。
パネルも一箇所ではなく数点に力が掛かりますから変形とか切れも極力抑える事が出来ます。
変形したままの引き作業ですから引いておいて押す事も必要になります。
サイドシルのインナーパネルもリーンホースメントと
同じように板厚もあり非常に頑強なパネルです。
引きと押しを同時にしないと復元はできません。
サイドシルのインナーを利用して、というよりサイドシルインナーもフロアパネルも
この時点できっちりと復元します。
赤い色の工具は正式にはフレームハンマーというスライドハンマーです。
が、引くためのスライドハンマーはどこのボデーショップにでも有ると思いますが、
これは押しのスライドハンマー(フレームハンマー)です。
サイドシルの上端、下端を引いておいて中程のひずみを押してます。
かなり力のかかるスライドハンマーなんですが、
サイドシルインナーの厚みにはかないませんでした。
上記と同じ作業ですが、スライドハンマーでは肩と、腕を壊しそうなので、油圧ラムで押すことにしました。
サイドの寸法はまだですが、クロスの寸法はきっちり出てます。
前後の長さはちょっと足りないだろうけど、幅はばっちりということです。
センターフロア(リヤシートの座面の箇所)の修正作業です。
この作業の前に計測機をセットしています。フロアパン(センターピラー部分)およびサイドシルインナーの幅の寸法確認をして、
ほぼ寸法どうり修正終えてますのでここの修正が核心になります。
フロアパンとサイドシルとホイールハウスの構造体ですね。
ここをきっちりと引き出しておかないとサイドシルのインナーパネルが取り付けできない事になります。
ここもクランプ多点で薄板がちぎれないよう力を分散させて慎重に。
ゲージをセットしてますので寸法をチェックしながら作業を進めます。
計測ポイントの画像は左のリヤサイドメンバー(リヤフレーム)リヤバンパーが付くと隠れるところです。
車の一番後ろです。
黄色のポイントで示している所がボデー寸法の基準になる、たくさんある内の一つのポイントです。
基準穴がもっと後ろに行かなくてはいけないことを示してます。
要するに長さが足りないからあと10mmくらい伸ばしましょうということです。
サイドシルのインナーをそのまま使用するならポイントが合うように修正が必要ですが、
今回はサイドシルインナーも取替ますので、この後、切開および切断して引き作業します。
メーカーからはボデー寸法図のような情報が出ますし、それを計測する機械も存在しますから、
事故車の保障も出来る訳です。合理的だと思いませんか?
いきなりサイドシル関係、センターピラー関係を取り外し、カットしたインナーパネルをフロアパンと
スポット溶接した画像ですが、この前に前後に引き作業をしてます。
作業後、左サイドのパネル類を取り外すと、寸法がさらに足りなく(短く)なります。
横に引いてる作業だけ紹介してますが、前後にも引いているんですよ。
極端にいえば直線だった物がぶつかって曲線になりますから長さは短くなります。
その長さを引いて元の長さにしなくてはいけませんので。
フロントはフロントピラーの下端、サイドシルとの重なった所を引きます。
左のサスペンションは邪魔になるので適当な時期に取り外します。
こんな感じで前後に引きながら、寸法をきっちりと合わせて置いてパネルを溶接していきます。
溶接時も前後に引いて寸法を合わせておきます。
サイドシルインナーパネルを溶接してしまうとちょっとやれやれです。
サイドシルインナーパネルの溶接を終えて、続けてサイドシルリーンホースメント、
センターピラーのインナーパネル、リーンホースメントを溶接しました。
センターピラーのインナーもリーンホースも切り継ぎですが、
切り継ぎ箇所は10cmほどずらして溶接してます。
作業の邪魔なのでゲージ(計測器)は一部外してます。
溶接箇所をベルトサンダーでならして、錆止め処理した所です。
プライマーでは溶接熱、炎で燃えてしまいますから、
スポットジンクというシーラーを塗ります。
導電性防食亜鉛塗料というんですが、要は亜鉛を含んだ電気が通る錆止め塗料ですね。
地金にスポットジンクだけ塗ってほっといた物がしばらくありましたが、
塗った所は全然錆びてませんから有効だと思います。
完成した後(塗装後)これとは別に防錆しますので後々紹介します。
サイドシルのアウターパネルとセンターピラーのアウターパネルです。
どちらも切り継ぎ箇所でカット、溶接部は本体の錆止め処理と同時にジンク処理してます。
この前に溶接のための建付け、フランジ(段付け)処理も完了してます。
そしてスポット溶接、アーク溶接をして、溶接部をベルトサンダーで平滑に処理します。
最終的にパテで処理するわけですが、最後の処理を考えて作業を進めます。
この場合は切り継ぎ部が少し低くなるように処理します。
そして最終確認です。
計測器(メジャー)の前後の画像です。
別ページでフレームチャートと共に説明しますが、ボデーの中心線です。
これを基準にセットしたメジャーで長さ、幅、高さを計測します。
レーザー光線の計測とか、パソコン使用した計測器とか実際使ったり、デモ使用しましたが、最終的に私の所はこれです。
簡単明瞭で故障のない寸法図どうり使える機械式のメジャーが向いているようです。
こちらが全体の長さを確認しながら、ドアヒンジの位置など、最終確認の計測してますが、
サイドシルとセンターピラーの建付け溶接時も右と左を確認して計測してます。
ドアは付けないかといいますと、さすがに現物もあわせないと不安なところがありますから付けて見てます。
計測と、ドアの建付け、両方で確認すれば安心です。
ただ溶接開始までの時間は、ゲージがないよりは、格段に早いです。
修正機からリセットして前後ドアを建付けして見た画像です。
もう一枚がプライマーからパテから、最終ポリウレタンフィラーまで終わった画像です。
切り継ぎ部四箇所のパテ研ぎ作業もパネルが入り組んでますから手研ぎしかできません。
時間も労力も結構使いました。それでもここまで終われば八割方終わりです。
サイドシルインナーの裏側、およびフロアパンの状態です。
センターピラーからセンターフロアまでくの字の変形でしたが
自分で言うのも恥ずかしいですが、綺麗に直っていると思います。
サイドシルインナーの処理は下地にウオッシュプライマー
ではなくエポキシプライマーを塗って、
ウエットオンウエットでドイツテロソンのチッピングコートを二度吹きしてます。
ウオッシュプライマーですと上に必ずフィラーを塗ることになりますので手間も時間も掛かります。
隠れるところ、見えないところ、下回りに付く錆びやすい部品関係などに重宝です。
時間短縮、手間暇省略ということで良い工法だと思います。
ランクル40のアンダーボデーに付いていたボデーの小物や
メカニカルな小物は錆がひどく大変でしたが、
研ぎや、ブラストで裸にした後ほとんどこの方法で処理してます。